〜 ミニリク小説 「あやし珍し座談会」 〜




 ある日のこと。
 互いに非番だったヒュドールとリヒトは、なぜかヒュドールの私室で茶会を開いていた。まあ茶会とは言い過ぎなのだが、ちょうど身の回りの事を終えて一息吐こうとしていた所に暇を持て余したリヒトがやって来て、許可もしていないのに勝手に寛ぎ始めたのである。ヒュドールにしてみれば、心安らぐ時間を台無しにされたのだから、機嫌が悪いのも仕方がない。しかしそれにすら気付いていないのか、それともわざとなのかは知らないが、リヒトは対照的に呑気である。
「やっぱり長年やってるだけあって、お前は茶の淹れ方さえも上手いよな」
 と、ヒュドールが自分のために淹れた茶を飲んで満面の笑みを浮かべる始末だ。
「……貴様は唐突にやって来て人の休息時間を邪魔したあげく、勝手に飲みやがって」
「まあまあ、せっかく褒めてやってるんだから怒るな。そしてたまにはゆっくり語り合おうじゃないか」
「お前と話す事など何もない」
「そんなつれないこと言うなよ。それにさ、こうやってゆっくり休める日っていうのも俺たちには貴重な時間なんだしさ」
 リヒトの言う事には一理あった。
「チョビヒゲは、やたらと俺たちにだけ命令を下して来るからな。しかもどうでもいい、下らないものばかり」
「はは、確かにね」
 テーブルを挟んで向かい側に腰掛けたヒュドールの疲れた顔を見て、リヒトは苦笑した。ちなみに、コンビとはいえ同時に非番となる日は少なく、こうして二人が顔を合わせてゆっくりしているというのは、割と珍しい光景だったりする。
「まあ、それだけ信頼されているって思えばいいんじゃない?」
「そうだな……」
 軽く息を吐き、ヒュドールは頷いたが。
 これまでに与えられてきた仕事の数々を思い返し、眉間にしわを寄せていた。チョビヒゲが下す命令は、時に女官や下級兵士でもこなせるような、本当に下らない事であったりするからだ。特に容姿が良いことを理由に使われる場合が多かったりする。
「だが、もう少しまともな仕事を与えて欲しいと思うがな」
「……確かに」
 今度はリヒトが頷く番であった。



 END



<ひとこと>
二人はチョビヒゲに悩まされていたりします(笑)。でも国王だから逆らえないという。

この話の登場人物は、こちらの作品の住人です。→ 「 FIRE×BRAND 」


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