天空の花嫁





 ハレルヤ ハレルヤ


「お父様、お母様、長い間お世話になりました」


 見目美しき娘の、門出の日
 生み育ててくれた父母への感謝の言葉
 純白の衣裳に身を包んだ――花嫁(ノービア)


 ハレルヤ ハレルヤ


 娘の眼(まなこ)に迷いはない
 透き通る天空の青のように――晴れやかで清らか


 ハレルヤ ハレルヤ


 やがて天界への門が開く

 天使達が舞い降り、花嫁のヴェールをそっと手に取る
 壊れやすい硝子細工を扱うように、優しく


 ハレルヤ ハレルヤ


 歌が聞こえる
 喜悦の歌声が、天に響き渡る

 娘は一歩、また一歩と祭壇へ歩み寄る
 降り注ぐ光と、白い花びら
 父母の流す涙さえ、祝福のよう


「汝は神の999人目の花嫁に選ばれた」

 祭壇で白い法衣の聖職者(プリースト)が、天界聖書を読み上げる

「誓いを」

 娘は跪き、誓う

「神よ、私は誓います。この身と心と共に、永遠の愛を捧げることを……」

 それは禁断の誓い

「誓いは成された」

 聖職者の手が花冠を与える
 天空に咲く花・アポイナの白い、白い冠

 それは【天空の花嫁(パライソ・ノービア)】の証



 娘は立ち上がり、ゆっくりと進む
 汚れなき魂と共に、汚れなき世界へ
 聞こえるのは天空で鳴り響く聖なる鐘の音と、天使達の歌声だけ

 迷いなき眼(まなこ)が真っ直ぐに前を見据えた
 開かれた門の先には、天界へと続く白い階段
 その先にあるのは――





 END



 ↓
 ↓
 ↓


本当の結末は二通りに分かれております
お好みに応じてどうぞ…

幸せな結末をお好みの方  → 【 虚偽 】
ダークな結末をお好みの方 → 【 真実 】



Copyright(C)2004− Coo Minaduki All Rights Reserved.