× このお話は本編とは切り離してお楽しみください ×
× ネタばれありなので、本編未読の方はご注意を ×




 その日、ミリアムの店は異様な繁盛ぶりを見せていた。
 いつものようにおやつを買いに来たイグネアは、その混雑ぶりに思い切り怯んでいた。いつもは奥様が多いのだが、今日に限っては若い娘がかなり多い。
 一体何事だろうか……そんな風に考えつつミリアムに声をかけると、ものすごい笑顔と共に何やら小さな箱を手渡された。
「はい、これはイグネアの分よ」
「は?」
 何の事やらと首を傾げつつ、手渡された小箱に視線を落としてみる。ピンク色のハート型が、白と赤の細いリボンで装飾されたものだ。見ているだけで幸せな気持ちになれそうな可愛らしさである。
「これ、私に下さるんですか?」
 大真面目に問いかけると、ミリアムは堪え切れずにプッと噴き出した。
「違う違う。今日はバレンタインでしょう? イグネアが渡す分として、特別に作っておいたのよ」
「ば、ばれんたいん? それは食べ物ですか?」
「ううん、バレンタインはね、年に一度のお祭りみたいなものよ。好きな相手にチョコレートやプレゼントを渡して、想いを伝えるの。だから今日は若いお客さんが多いのよ」
 ミリアムがぱちっとウインクを飛ばしてきて、ああ成るほど、とイグネアはようやく理解したものの、なぜ私用なのだろうか……と難しい顔をして真剣に悩んでいた。
「それで、これはどうすれば……」
「イグネアが大切だと思う人に渡すといいわ」
「大切、ですか」
「うん、頑張ってね」
 何を頑張ったらいいのかよくわからないが。
 ミリアムはとても忙しそうで、それ以上【ばれんたいん】について聞き出す事が出来なかった。けれど、こうして自分用にわざわざ作ってくれたミリアムの心を無下にするなんてとんだ罰あたりである。とりあえず、彼女の言うように自分が“大切だ”と思う相手に渡してみる事にした。


 そんなこんなで屋敷に戻って来たイグネアだが。
 さて、この特製プレゼントを誰に渡そうか?

 1.ヒュドールに渡す(糖度★)
 2.リーフに渡す(糖度★★)
 3.リヒトに渡す(糖度★★★)

 おまけ オンブルに渡す(糖度???)


 ※糖度は当サイト比でございます。



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